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フランス革命と保守主義の誕生
フランス革命と社会の大混乱
資本主義が成立することによって経済システムが変わり、それに伴って社会システムも変わってしまい政治システムも変わってしまいました。しかしこんな激変が起こったら、その社会が大混乱に陥るのは目に見えています。事実混乱は起こりました。その際たるものがフランス革命ともいえるかもしれませんね(だって貴族ギロチンにかけちゃうんだもん)。
そのためフランス革命を批判的に捉える人もいました。というのも現在の観点からすれば市民革命(=フランス革命)は不可欠のように思われますが、当時の状況からすれば既成秩序を崩壊させた出来事に他ならないからです。新しい秩序が以前と同じように作り上げられるかどうかはその時点ではわかりません。となればフランス革命は政治なんて知らない無頼漢が勢力を頼みに起こした反乱としてだけ受け止められたってそう無茶な解釈だとはいえないような気もしますね。
フランス革命と保守主義 〜エドマンド・バークの『フランス革命についての省察』
そんなわけでエドマンド・バークという人はフランス革命に反対して『フランス革命についての省察』という本を書きました。そのままのタイトルでわかりやすいですね。内容は…まぁ、忘れてしまったのですが(申し訳ない)、バークが批判した立場というものは今日までひとつの水脈として続いています。この20年くらいでよく聞くようになったかもしれませんが、保守という立場です。
バーク先生はフランス革命を既成秩序を破壊する混沌とした事件だと受け取ったようです。それは新しい勢力(資本家)がかつて存在していた秩序体系を壊してしまうものと思われました。と同時に現存の社会秩序の破壊でもあります。そのため社会秩序を維持するためにそうした破壊的な革命に反対するのです。
そして破壊される前の社会秩序を長年培ってきた立派な社会秩序であると考えるのです。新しい新参者がよくわかってないのに全体を掻き回し、結局壊してしまうだけでなにも生み出さない。こうした意味が込められているのかもしれませんね。今風に言えばニワカはでしゃばるな、ってとこでしょうか。
イギリスと保守的風土
こうしたバークの考えは既成秩序に対する破壊への反対、とでも言えるもので保守主義として残っています。またバークはイギリス人でしたからフランス革命はお隣の国で起こった、でももしかしたらこっちにまで波及してくるかもしれない事件としてあったのかもしれませんね(まさか他人事として勝手に口をついていたのではないでしょう)。
私はよく知らないのですが、なんでもイギリスはもともと昔から残っていた風習や法律をよく守るお国柄だそうです。そのため保守主義はイギリスの風土とあっていたのかもしれませんし、バークが出てくるだけの理由があったのかもしれませんね。なんだかえらいはずの政治家までが保守、保守、と叫んでいますので、一度その原点にまで遡って読んでみるといいかもしれませんね。
でも保守ってそう簡単ではない立場のようです。
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気になったら読んで欲しい本
バーク『フランス革命についての省察』
バークの本。案外岩波文庫版は最近の翻訳なんですね。
内容に関してはあまり覚えていないのですが、読んでいてとても面白かったことを覚えています。どうもバークの考えを読みますと、そこらへんの保守と名乗る人はちょっと問題があるんじゃないかと思ったりもしてきます。というのも保守という立場はかなり難しい立場になるからです。それは次回にでも書いてみましょうね。
池田理代子『ベルサイユのばら』
とりあえずベルサイユのばらでフランス革命について触れておいたら分かりやすいかもしれませんね。って、私は全部読んでないんですけど。とほほ…
ギタール『フランス革命下の一市民の日記』
で、こんな面白い本もあります。フランス革命が起こった当時に生きていた人の日記です。その時にどんなことが起こったのかが一市民の生活者の観点から書かれているかと思います。でもこれも私は読んでいません。持ってはいるんですけど。文庫としてはかなり分厚い本です。
トクヴィル『フランス二月革命の日々』
フランスでバーク的な考え方を引き継いだらしいトクヴィルのフランス革命の回想記です。これも読んだんですけど忘れてしまいました。でも多分バークの考えを理解するのに手助けになりそうな気がしますね。
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お話その137(No.0137)