日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

私の存在意義となる表現と諸関係の織物となる意味 ~世界の中の自分を表現する作品世界の密度としての架空世界と現実社会の模倣世界

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前回のお話

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がんじがらめに絡めとられた諸関係と作品世界 ~〝私〟はいったいどこに存在しているの?

具体的なもの=諸関係の束の中心みたいな作品?

からっぽ=構造/類型的な作品に対し、具体的なもの=諸関係の束の中心たる実存、なんて対比を行ってみましたが、そうしたものの作品化といえばどのようなものでしょうか。

 

ハイデガー存在と時間』】 

がんじがらめに絡めとられた諸関係と、その表現

それはがんじがらめに絡めとられた諸関係そのものを表現するものになりますね。しかしそんな関係、中々自覚して取り出すことなど出来ないような気もします。少なくともとても難しそうな予感がします。

 

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いちから創られた作品世界とは?

もしそうした作品をいちから創り上げていこうとすれば、作品世界そのものをいちから創り上げなくてはいけないかもしれません。そんなこと可能なのでしょうか。

 

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トールキンと架空世界

しかし一応そうした例はないわけではありません。昔、映画化されて再度有名になった『指輪物語』という作品がありますが、これはオックスフォード大学で中世を専門とする学者だったトールキンが、その学知を傾けて創作した〝中つ国〟という架空世界が舞台となっています。しかしトールキンの作品は確かにいちから世界を創り上げたようなものですが、普通ファンタジーとして判断されます。〝この私〟を取り巻く諸関係を、世界をいちから創り上げてから作品化したからといって実存的な作品になるわけではないわけですね。

 

トールキン指輪物語』】 

バルザックと現実のフランス社会

他にも元祖小説とでも言えるかもしれないバルザックの作品群があります。これは当時のフランスを舞台としていて、そこに登場する膨大な登場人物が絡み合うとんでもない作品です。ひとくくりに『人間喜劇』と呼ばれますが、それは19世紀フランスという社会そのものを描こうとした壮大な作品です。そして社会そのものを丸ごと描こうとしたことにより、社会=諸関係の絡まりを作品の中にも埋め込まれることになりました。

 

バルザック『従妹ベット』】 

(『人間喜劇』の中の大傑作のひとつ。もちろん私は『人間喜劇』すべてを読んではいません)

ファンタジー的架空世界と現実社会の模倣世界

こうなってくると世界をいちから創り上げるということもファンタジー的な虚構とは少し今が異なってきそうです。ファンタジー世界は架空の世界ですが、バルザックの世界は現実のフランスの模倣でもあります。模倣、と書くとなんとなく大したことなさそうな気もしてきますが、そもそも社会自体がどんなもんか人間に十分理解できているのかもわかりません。そんな社会を創作の中で模倣しようとすることは、私たちの生きているこの世界を模倣しようとしていることに他ならず、また全貌を捉えることすら叶わぬかもしれぬ対象をなんとかしてひとつかみにしようとしていることかもしれません。つまり作家という個人によって、可能な限り世界を認識しようという試みなのかもしれませんね。そしてそうやってつかもうとした世界の姿は、個人の中でひとつの世界を創り上げていくことと似てくるかもしれません。

 

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こうした社会=世界との格闘を個人=作家の手で行うことも、ひとつの具体的なものとしての作品になるのかもしれませんね。

 

….また話がズレていってしまった。

 

次回のお話

https://www.waka-rukana.com/entry/2020.07.13

 

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お話その214(No.0214)