日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

フランス革命の原因となった経済システムの変化と、結果として起こった政治/社会システムの変化 〜富の源泉を握る貴族=土地から市民=産業への転換と社会変革

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前回のお話

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/11/21/190036

 

経済システムの変化と社会/政治システムの変化 〜フランス革命による貴族から市民への転換

経済システムの変化とフランス革命

資本主義が成立するとそれまでの経済システムが立ち行かなくなります。それまでは土地が1番大事でした。農業が中心でしたから土地を抑えた人が勝ったわけです。ですから封建領主が貴族となってふんぞりかえっていました。

 

それが分業と機械化によって大量生産が可能となると、そうした生産をする人たちの方に富が集中します。これが資本家とかブルジョアとかいわれるやつですね。でもそうした新しい階層の人たちは新参者の、いわば成金なので昔の社会体制の人たちからは認められません。でもすでにお金持ちは資本家の方に占められているわけですね。

 

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そこで社会の実権を持っている旧体制の貴族たちに非貴族たちが不満を持ちます。それが爆発したのが『ベルサイユのばら』で有名なフランス革命ですね。これは貴族=土地所有者が支配する旧体制に対するお金を持った非貴族=市民階級=資本家の世代交代の争いだったわけです。

 

フランス革命による社会システムの変化

こうしたフランス革命が起こったことによって社会体制ががらりと変わってしまいました。それは貴族が落ちぶれて市民がのしあがった時代ともいえます。しかしこの変化は決定的なものでした。今日の私たちの生きている世界もフランス革命後の世界だといえますね。貴族は世界には残っていますけどビル・ゲイツやジェフ・ベゾスの方が社会の実権を握っていると言えるでしょうからね。政治家も貴族だけがやっているわけでなく、一応選ばれた市民がやっています(エリートばかりだとしてもですけどね)。

 

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しかしもともとを遡ってみますと資本主義の成立、産業革命によって富の源泉が土地から生産に変わっていったからですね。いってみれば経済システムの変化だけのはずなのですが、それが社会全体にまで変化を要求してしまったわけです。そして政治も変わってしまい貴族は表舞台から退場させられました(それとも結構元気に活躍してるのかな)。

 

絡み合う経済と社会のシステムの変化

こうした変化を見たからマルクスはきっと経済的基盤の上に文化や政治がのっかっている、とか、人類の歴史は階級闘争の歴史である、と考えたのでしょう。実際まとめてみるとそう見えますもんね。それにフランス革命はマルクスの時代からすればそう昔のことではありません。ですから世界史的な事件であったフランス革命に倣ってプロレタリア革命が起こるように考えてもおかしくないかもしれませんね。戦後米ソの冷戦がいつ第三次世界大戦になるかと不安視されていましたが、そんな感じだったのかもしれないですね。

 

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ともかく資本主義というものが現れていくことによって経済だけでなく社会システム自体が激変してしまったわけです。たったひとつの経済システムによってすべてが変わっていってしまったわけですからこれに賛成する人も反対する人も出てきました。しかしその正否はともかくとして、市民革命としてのフランス革命は不可逆的な出来事として私たちの世界を作っていきました。資本主義と共に市民社会は確たるものとして今のところ私たちの世界として存在していると思います。

 

次回のお話

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気になったら読んで欲しい本

池田理代子『ベルサイユのばら』 

誰もが知ってるベルサイユのばら。フランス革命について日本で1番知られている本はこれかもしれませんね。でも、私最後まで読んでないんです…

アシュトン『産業革命』 

産業革命についてこの本が手頃なんでしょうか。ずいぶん昔に読んで忘れてしまいましたが、簡単に手に入るでしょうし載せておきますね。

 

テュルゴー『富に関する省察』 

富の源泉が土地、ということはこの本の中で言われていたかと思います。アダム・スミス以前の経済学者とでもいえばいいのでしょうか。ですがなんでも農業と商業とでどちらを重視するかで対立しあっていたようですから一概に土地ばかりと言っていいかわかりませんけどね。

一応著作リストを作っているのでよければご覧ください。

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/09/06/170039

ステュアート『経済の原理』 

で、一方商業が大事、と考えた重商主義と呼ばれる人たちの代表的な本だそうです。ごついです。注も沢山ついてます。読むの大変です。

なんでもアダム・スミスはこの本の著者であるステュアートに対抗して『国富論』を書いたんだけど、よっぽど意識していたのか一言も言及せずに無視して書き通したんだそうです。そのため長い間忘れられていたといいます。学問の世界でもそんなことあるんですね。

ステュアートも著者リスト作ってあるんでよければどうぞ。

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/09/03/170026

ヘーゲル『法の哲学』 

市民が都合の良い言葉で意味をなさない、とブックマークでコメントをつけてくださった方がいらっしゃいましたので、一応ヘーゲルのこの本を載せておくことにします。これはヘーゲルの国家論なんですが、共同体と国家の間に市民社会というものを想定して、それが両者をつなぐような役割を果たす、というようなことが書かれていたかと思います。私には読んでも難しすぎますのでちんぷんかんぷんですが、市民なんてなんじゃそら、と思われるのでしたら一度ヘーゲルを手に取ってみるのもいいかもしれませんね。解説によればヘーゲルのこの本で最も評価されているのは市民社会論の部分だそうです。市民という言葉は訳語で意味をなさないかもしれませんが、市民という言葉のもとになった概念は、少なくともドイツではヘーゲルによって鍛え上げられた歴史があるわけですね。

ちなみにヘーゲルはフランス革命を強く意識して哲学した人です。

 

次回の内容

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お話その136(No.0136)