前回のお話
https://www.waka-rukana.com/entry/305/2021.02.17
資本主義の制御はいかにしておこなわれるのだろう
マルクスとヘーゲルの歴史観
マルクスの歴史観は終局的に共産主義社会が訪れるというものでしたが、その基となる考え方は唯物史観と階級闘争の歴史になるかもしれません。しかしマルクスはヘーゲルの哲学の後継者のひとりでもあり、またマルクスの歴史観もヘーゲルのものを批判したり継いだりとした側面があったような気がします。
【ヘーゲル『歴史哲学講義』マルクス,エンゲルス『共産党宣言』】
(一応並べてみました。良し悪し好き嫌いは別にしても読んでみてもいいんじゃないかとは思います。でも入れあげるのはよくないと思います。むしろマルクスよりヘーゲルの方が危ない気持….)
マルクス以降の資本主義
しかし残念ながらマルクス先生の予言は今のところ当たっていません。資本主義システムは自壊していませんし、共産主義社会は到来していませんし、共産主義国家は大抵単なる独裁国家です(多分)。そうなるとマルクス先生、間違ってたんじゃないの、と思ったりもしますね。
もちろんこれは逆の見方も出来ます。つまりまだ資本主義は崩壊する過程の最中なのだ、という考え方です。それはそれでもしかしたらそうなのかもしれませんが、キリスト教的終末がくるくると思われながら今日まで来てないのと同じで、どこまで信じられるのかはわかりません。というか信じるかどうかの問題である時点でちょっと観点がズレちゃってるかもしれませんね。
社会主義的政策の資本主義
また佐藤優がどこかで述べていたかと思いますが、資本主義が自壊してないのは世界の共産主義化を避けるために資本主義国が社会主義政策をとった、というので、そのおかげて資本主義の加速を制御出来ていたのかもしれません。佐藤優は続けて、社会主義国が壊滅しつつあるので資本主義国も社会主義政策をとる必要がなくなってきたから、日本のみならず世界中で資本主義の牙がまた剥かれてきた、ということも述べていたかと思いますが、こちらもなんとなく体感的に納得いく気もします。となるとこれからまた資本主義の崩壊に向かっていくのかもしれませんし、そんなこと関係なく資本主義は元気なのかもしれません。
経済及び経済学の発展と制御
はたまたケインズが政府による財政出動で資本主義の危機を救ったり、シュンペーターが言うようにイノベーションによって資本主義は終わることなく発展していったり(多分)と、もしかしたらマルクスとは関係ない経済学の発展によって、資本主義自体がもっと上手くコントロール出来るようになっているのかもしれません。
【ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』シュンペーター『経済発展の理論』】
(こうした理論と実践によって資本主義はちっとも死なないのかもしれませんし、コントロールされていき続けるのかもしれません。けどそんなこと私にはわかりません)
どちらにせよ今のところ言えることは資本主義はちっとも死にそうにありませんし、とても元気で、しかもネットによって未開拓地まで新たに開かれてしまいますますその運動は高速回転していきそうです。
となると資本主義というものは勝利しているのではないかと思えてくる今日この頃なのでした。
次回のお話
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お話その306(No.0306)