前回のお話
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資本主義と共産主義国家の変な関係
マルクスの歴史観は歴史観として、その延長線上に共産主義社会が訪れるとマルクスは考えたようです。
資本主義対共産主義?
このあたりが現代からするとよくわからなくなってしまいそうになるところで、共産主義っていうものは資本主義と対立するようなもんじゃないのか、と思ってしまいますよね。ソ連だって崩壊したし、中国だって共産党政権の国だし、と、昔と比べて大きな勢力ではなくなってしまいましたが、まだ共産主義の国っていうのはありそうな気もしますし、しかし資本主義だって元気なままです。
ですがマルクスは別に資本主義を打倒して共産主義国を作ろうとしたわけではないようです。そうではなくて、資本主義っていうのは勝手にどんどん進んでいって、そのうち耐えきれなくなるから、そのあと共産主義社会というものが訪れる、というように考えたようです。この辺りの考え方が終末思想と似ているように感じるわけですね。天使のラッパが鳴って世界が滅び、キリストの直接治める千年王国が訪れるのと同じように共産主義社会が訪れるわけですね。
恐慌を分析するマルクス経済学
そのためでしょうか、マルクス亡き後のマルクス経済学は資本主義システムの矛盾をはっきりさせるために発展したそうなのですが(違うかもしれない…)、大恐慌が訪れる際にはその予兆をマルクス経済学ははっきりと指摘して、その本が古本屋から消えたという逸話があるそうです。
【ヴァルガ『世界経済恐慌史』】
(このヴァルガさんがマルクス経済学の見地から恐慌の予兆を分析し、あんまりあたったから古書街からその本が鰻登りに値段が上がったそうです。マルクス主義なのにその価値によって値段が上がるのがなんとなく面白いです。この本はそれ自体ではないそうです)
資本主義の次の時代の共産主義
それはともかく、資本主義というシステムに限界があるもんだから、そのうちそのシステムは崩壊して共産主義社会が訪れる、ということは資本主義の先に共産主義があるわけで、お互いに対立しているわけではないことになります。しかもマルクスやエンゲルスは国家とは資本家を守るためのシステムであって、共産主義社会になれば国家自体も無くなると考えました(多分。マルクスは違うかも…)。そのため共産主義国家なんてのはそもそもおかしいわけです(ですから共産主義国家とみなされている国は、みんな社会主義国なんだそうです。共産主義国家なんて名乗れないわけですね)。
【エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』】
(エンゲルスの国家についての考え方はこの本だったかな。いつも通り内容の大半は忘れてしまいました。ははは…)
共産主義国家はヘンテコ?
そう考えると共産主義国家とみなされそうな国は、もしかしたらマルクスの考えてたとこをちょっと逸脱して国家を作ったのかもしれませんが、その理由となるところや背景までは私は知りません。ただ原点に帰ると、資本主義に対立するものとしての共産主義による国家というのはそもそもおかしなものなのかもしれませんね、と、それだけのお話なのでした。
う〜ん、久しぶりに書いたら変になっちゃった。
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お話その305(No.0305)