日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

ニュートンの意味。神意を探り理解することによって神に近づこうとした自然世界の究明としての近代科学/物理学の出発点 〜ニュートンの目的としてあった宗教的動機

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神の意図を究明するための自然世界 〜ニュートンの目的

ところでデカルト以前の自然観は神によって説明されていました。旧約聖書にある天地創造から、世界のすべてが神の手によって作られたので、自然世界もまた神によって作られている、というわけですね。そのためこの世界には神の意図があり、それに従って作られていると考えることも出来ます。

 

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デカルトはいわば、この神の意図を哲学的に切り離してしまったことになりますね。自然世界は単なる物の集積であり、そこに神の意図など入り込む余地はない、ということでした。しかし、このデカルトの切り離したはずの神の意図。この神の意図という考え方が、もっとも偉大な発見を生んだのでした。

 

ニュートンと物理学/科学

それはニュートンによって行われました。

 

ニュートンといいますと万有引力の法則で有名ですね。物理学というものはニュートンによって作られたのであり、科学というものもニュートンの成功から生まれたのだ、と、言っても極端ではないかもしれません。デカルトの転換が抽象的に決定的だとすれば、ニュートンの転換はもっと具体的に決定的です。鉄道も飛行機もニュートンなしにありえず、今以てスペースシャトルを飛ばすのもニュートンの考えに従っているそうです(私はなにも知らないけど)。

 

神の意図を知るための自然世界の解明=物理学

ではニュートンはなぜ物理学をしたのでしょうか。それは、神の意図を知るためだったというのです。

 

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デカルト以前の自然観がどのようなものかは上に述べました。それは逆に考えてみますと、自然世界を解明することによって神の意図を読み解くことが可能である、とも言えるのです。そのため敬虔なキリスト教徒は自然世界を研究したそうです。自然世界が成り立っているメカニズムがわかれば、そこにあるはずの神の意図も読み解けるはずだ。こういう期待があったのだといいます。

 

そしてニュートンもその中に含まれるというのです。ニュートンは言うまでもなく科学者で、物理学者です。私たちの知る範囲の常識的な判断であればそうなります。そしてそれは別に間違っていないでしょう。ニュートンは科学者で物理学者です。おかしくありませんよね。

 

ニュートンと宗教的意識

しかし科学がきっちりと成立したのは多分ニュートン以降です。となるとデカルトが近代(近世)哲学の祖でありながら中世的世界にまだいたように、ニュートンも科学者であり物理学者でありながらそれ以前の世界にいたともいえます。それこそ中世的自然世界観のある世界です。ニュートンの最大の目的は神の意図を知ることであり、そのために科学者になったのだとも言えるのでした。

 

実際19世紀に入ってからですが、これまたとても偉い経済学者のケインズという人がニュートンの鞄か何かを手に入れたのだそうですが、その中身はほとんどが聖書の研究や錬金術の研究だったそうです。ケインズはこの事実から考えて、ニュートンは最初の科学者としてよりも最後の錬金術師であった、というような判断をしたそうです(どこで読んだのか忘れました。言い回しは違うかもしれません)。

 

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いわば神の意図という、どう考えても科学的とはいえない宗教的な理由で究明したものが、まったく宗教的ということのできない科学的な成功をおさめてしまったのでした。しかし逆に言えば宗教的な動機で行われたからこそ、徹底しぶれることなく最後まで究明し続けたともいえます。こうした逆転的な結果が起こるのが歴史の皮肉として言われたりもします。

 

ちなみにどこで読んだのか忘れましたが、現代の科学史家から言わせれば、何故キリスト教的動機から近代科学が生まれたのか、というと、たまたまだ、とミもフタもないことを言ってらっしゃる方もいるそうです。う〜ん、ミもフタもない(苦笑)。しかし今でも物理学者の中には自分たちのやっていることを神の学問と捉えている人もいるようです。案外科学者もキリスト教徒なのですね。

 

 

 

ちなみにニュートンが自然世界を説明するために新たに数学を作り上げなければならなかった、というお話はこちら

 

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/07/04/060037

興味あればご覧ください。

 

気になったら読んで欲しい本

【世界の名著『ニュートン』】 

ニュートンの本。内容は私には荷が重すぎるので説明できません。

しかし元々の題名は『自然哲学の数学的諸原理』と言いまして、自然科学ではなく、自然哲学なのです。この題名からしてもニュートンの時代にはまだ自然世界は哲学の対象であり、ニュートン的な科学の対象ではなかっただろうことが伺えますね。それは当然で、現代から見て科学的であるものはニュートンから生まれるのですから、ニュートンが学び吸収してきたものはそれ以前のものだったからです。

とはいえ、既にガリレオはいましたから科学的でなかったともいえないかもしれません。このあたりはどうなってるんでしょうね。ティコ・プラーエという人が天体に関する膨大な情報を集め、ケプラーという人がそれを理論化へと試み、ガリレオによって実験的に確かめられ、ニュートンによって壮大な理論化がされる、ということでいいのでしょうか。私は断片的にしか知らないので確かなことが言えません。う〜ん、どうなってるんだろう。

 

【島尾永康『ニュートン』】 

ニュートンの解説書もよく知らないのですが、どこかでこの本がお勧めのブックリストに載っていた気がしますので載せておきます。新書なら短いし読みやすいですね(読んだけどとても面白かった。ニュートン先生ゆかいな人)。

 

次の日の内容

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/09/19/193041

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https://www.waka-rukana.com/entry/2019/09/17/193015

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お話その100(No.0100)