伝わらない場合の相手の理由 〜頑なな理解者?
相手に伝達する時、相手側の理解が十分ではない、ということはあり得ます。
それは伝える人が伝達内容A(123456789)を相手に伝えようとしても、どうしてもA(1 45 89)としかならない場合です。
伝える側に落ち度がなくても伝わらない場合
この時伝える側ではなんの落ち度もないと仮定します。つまり伝達者は自分の伝えるべき伝達内容A(123456789)を過不足なく相手に伝えている。自分の伝達が完璧であるとみなしておらず、相手の理解がA(1 45 89)であることも理解している。その上で不足分( 23 67 )を埋めるため伝達のやり直しを行なっている。こうしましょう。
このような場合であれば、相手に問題があると考えることもゆるされるかもしれません。
ではどのような場合こうしたことが生じてくるでしょうか。
1.理解する側が伝達内容を受け入れる気がない
まず、理解する側が伝達内容を受け入れる気がない場合が考えられます。たとえ伝達者が過不足なく十分に伝えていたとしても、受け入れる側で拒絶していればその内容を理解するわけがありません。もしこの時受け入れる側がA(1 45 89)と理解していたとすれば、それはたまたま目の前で伝えられた内容が不十分に受け入れてしまった、というだけになります。つまり理解したこと自体が偶然みたいなものですね。
2.伝えられる情報に限定された範囲しか関心がない
次に伝達者が伝えるA(123456789)のうち、伝えられる人にとって1 45 89だけが関心のある情報だったとしましょう。すると123456789の内容のうちすべてを理解することは難しくとも、自分の関心のある範囲だけ理解できる、ということも考えられます。そのため伝達内容A(123456789)がA(1 45 89)とだけしか伝えられないわけですね。
そうなると残りの 23 67 はどうすればいいのでしょう。同じ方法で理解してもらおうとすれば、関心を持ってもらうしかありませんね。
3.受け入れる側が伝えられる情報を少なく見積もっている
それはともかく、次に考えられる場合は受け入れる側がAの内容を最初から(14589)としか思っていない、ということもありえます。つまり内容はAであり、それがT→Sへと伝えられるとするならば、SはAを14589であり、TはAを123456789である、と理解していてすれ違っている、ということになります。
しかしこれは理解する側の問題というより、伝える側、伝えられる側の齟齬の問題でしょう。しかしこの状態でSがAの内容は頑なに14589であると主張し、TがAの内容を123456789であると譲らなければただの齟齬の問題ではなくなります。そうではなく互いにAの内容はなんであるのか、といった理解内容に対する明確な対立が生まれるわけです。ここまでくるとまた別の問題へと移っていきそうです。
とりあえずこれくらいにしときましょうか。
まとめの図解
まとめると
相手側の問題において伝達がうまくいかない場合は
1.伝えられる側が受け入れる気がない
TA(123456789)→//S であり
TA(123456789)→//SA(1 45 89)
となるのは偶然
いわばS→//拒絶
であって
//拒絶(TA(123456789))
となっていて、拒絶()に何が入ろ
うと受け入れないため伝達不可
2. 関心のあるものしか受け入れない
TA(123456789)のうちA(1 45 89)だけ関心が
ある
よってA(123456789)のうち(1 45 89)だけ理
解する
結果TA(123456789)→SA(1 45 89)となる
3.受け入れる側が伝達内容を限定して理解している
TはAを123456789と理解している
SはAを1 45 89と理解している
そのため両者はAの内容において合意できず対
立する
結果SはTの理解するA(123456789)を受け入れ
ない
まぁこんな感じでしょうか。
考えていくと1つ1つは納得いきそうですけど、やっぱり全体としてわからないままのことが沢山ありそうですね。
【クリッペンドルフ『メッセージ分析の技法』】
(こんな分野もあるんですね。まだ読んでないけど、持ってたかな…?)
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お話その20(No.0020)