日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

権力の腐敗と権力者に媚びる小物の権力行使 ~出世の階段として権力者に近づき、虎の威を借る狐として権力の濫用をすることによって権力は腐敗する

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前回のお話

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権力への所属と末端的腐敗の原因 〜権力者にぶら下がる小物、という権力腐敗の構図

自己拡張としての所属

たいして知らないにもかかわらず、思想的グループに参加している(かのように見せる)ことによって、その人の発言はその人個人の発言よりも大きくなります。極端にいえば有名人の名前を出して相手を威嚇するようなものですね。俺はジャニーズの誰それと知り合いなんだぞ、といって女の子ナンパするようなタチの悪い男みたいなもんでしょうか。

 

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しかしこれが末端の無名の個人であればかまわないかもしれません。迷惑するのは直接相手される個々人だけです。嫌な奴だ、と思われて離れていけば孤立してしまいます。すると自慢する相手もいなくなりますから、自然消滅するかもしれません(今はもうネットのおかげで自然消滅しなくなってしまったのかもしれませんね)。

 

権力による自己拡張

ですがこれが本物の権力者に結びついてしまえばどうなるでしょうか。この人は阿諛追従の中身のない人だとします。まぁ保守でも左翼でもかまいません。バークも福田恆存も知らず保守を名乗り政権与党にいたり、マルクスも読まず革新政党に入るようなものですね。本来ならこんな人は政治の現場に入れちゃいけないような気がします。少なくとも私はそう思います(あぁ、でも経済とか行政の専門家は別ですよ。そんな専門性もなく、ただ活気のいいことだけ叫んでる人です)。けれども政治家は選挙で選ばれますから、有権者の心象をつかんでしまえば政治家になってしまいます。とはいえ今の政治状況では政党に所属しなせればまともに政治活動をするのは難しいかもしれません。ならせめて所属政党で教育して立派な政治家に育ててもらわなくっちゃいけませんね。専門性でないならば、せめてバークなりマルクスなりを知ってて欲しい気がします。

 

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とはいえ最近は政治家になるにもいきなり自分の政党を持つような人も増えてきました。この場合ですとそもそも自分の思想的基盤がなんなのかも教えてくれる人すらいないかも知れませんね。どうやって自分の周りにいる人を本物か偽物か区別してるんだろうな。

 

それはともかく、政党もそんなことめんどくさいのでやってくれないかもしれません。とにかく自分たちの勢力が増えたり安定すればいい、末端議員はまた議員になるとは限りませんから、そんなふうに思っていてもおかしくありません。でも、そうなるとそんな人たちは政治家になったおかげで、自分の思想的立場も保障されたと思ってしまうかもしれませんね。元々の考えを知らないままに自分の考えこそが正統と思い込んでしまうかもしれません。そして実際に権力を行使できる立場に置かれていますので、その使用可能な範囲で誰かに命令したり圧力をかけてしまうことが出来る可能性が出てきます。

 

代理的権力の行使という名目の、自己利益のための権力行使 〜すなわち権力の腐敗

そしてそうした似非政治家をただの一票、一席として囲っているだけで放っておくと、末端の権力行使者(似非政治家)は我こそは自らの所属するグループの代表者だと自分でも思い込んで、その実自分の利益にしかならないものをお上のためだと偽り要求を呑ませることが起こってくるわけですね(なんだか書いてて籠池さんたちのモリカケ問題を思い出してしまいました)。

 

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これが権力の腐敗というもので、統治者本人がいくら明晰でもダメなのですね。そうではなく、その代行者として振る舞う末端の人たちが統治者の権力を僭称して使用してしまうことが、権力の腐敗になってしまう、ということになるのかもしれません。そのため権力の腐敗を防ぐためには内部規律が大切で、個人的な親しさで引きあげたり褒賞したりなんてしていたら、そりゃ権力はどんどん腐敗していくかと思います。そんなことを続けていればトップがいかに重要なことを為している途中であっても、そこかしこで土台を蝕んでいることになりますからいつの間にかシロアリに喰われたように社会の基礎が崩壊している可能性もあります。

 

権力の刷新

そうした場合にはその権力構造自体を刷新させなければならないのですが、泣いて馬謖を斬るような真似が出来ない統治者であれば、ならず者に支配されたことと変わらなくなっていくのかもしれませんね。なにせ具体的な場面で出てくるのは統治者自身ではなく、そこにぶら下がっている人たちになりますからね。そんなわけでそうした権力体制を交代させるために選挙はあるのですが、最近はマーケティングといいますか、広告的手法でイメージ戦略によって選挙の結果が決まってしまっているようなので、権力構造は固定化しぶら下がる人たちまでもが肥大してきているようでどうにもこうにも長いものにはぐるぐる巻きで寄らば大樹の陰といった価値観もまた肥大してきているのかもしれません。日本の奥ゆかしさと勤勉はどこへいったのでしょう。そんな人はみな、気を病んでしまっているのかもしれませんね。

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/11/11/070051

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/11/12/070010

 

次回のお話

https://www.waka-rukana.com/entry/2019/12/18/190039

 

気になったら読んで欲しい本

三国志』(漫画,演義,正史) 

泣いて馬謖を斬る、という格言は三国志からだそうです。私は読んでおらずよく知りません。なんでも私たちの普通知っている三国志三国志演義というもので、面白く創りなおされたお話だそうです。それに比べて三国志正史というものは司馬遷史記のような歴史書なんだそうです。日本なら一番イメージしやすい横山光輝三国志と並べてみました。横山光輝三国志もなにか模範とした作品があることを山口昌男の本で読んだ覚えがありますが、忘れました。

 

マキャヴェリ君主論』 

政治のリアリズムというとこの本ですが、権力を取るだけでなくダメにする連中を取り除く方法まで書かれていたかは覚えていません。意外と『君主論』は簡素な内容で、その教訓を引き出すために主にローマの歴史をつぶさに検証しています。

最近岩波文庫版を読んだのですが、ちょっと専門的な注か多すぎる気がしましたので中公文庫版にしてみました。たしかこちらはそこまで注は多くなく、マキャヴェリの言いたいことを素直に読みやすかったような気がします。ただ私が読んだのは随分前で、この新版ではないはずです。細かい注が欲しい人は岩波文庫がいいかと思います。

カウティリヤ『実利論』 

この本はウェーバーが、マキャヴェリなんてたわいもない、とまで言ったインドの政略論です。こちらは権力の腐敗、というか臣下への厳しい対処も内容に含まれていた気がします。ただマキャヴェリと違い行政すべての範囲にわたってどうすべきかということまで書いてある幅の広さで、ちょっと読んでいると圧倒されてしまいます。案外政治家とか行政に関わる人は読んでみるのも面白いかもしれません。非常に簡素に書かれていますが、たった2冊に必要な範囲がコンパクトにもすべておさめられているように見えますので、こうして自分の中にまとめられれば大変なものかもしれませんね。

ただ大昔のインドで書かれたものですから(紀元前後らしい)、具体的なこと(人や物、単位といった名前やそれがどんなものなのか)といったことはほとんど見当がつきません。なんとなく核となることだけ理解するしかないかもしれませんね。そして、なにより値段が高騰しています。Amazonでも高いですが、先日たまたま古本屋で見かけた時は、上下揃いで5千円でした。どうも2回しか刷られていないようです。ウェーバーが取り上げたんだし、もっと増刷してもよさそうなのにね。

有賀弘,阿部斉,斎藤真『政治』 

政治についての入門書。とても簡潔でわかりやすく面白い本です。政治について大体知るにはこの本がいいかもしれません。なにかのブックガイドで載せられていたことがあります。その判断は正しかったと思います。

私には評価する能力もないのですが、おそらく政治というもののいとなみをかなり広範囲で捉えて説明してくれているのではないでしょうか。解説には学説史や著名な政治学者の考えを紹介するのではなく、自分たちで政治というものを考えていけるような、そんな本にしたかった、と述べられていたかと思います。

権力の腐敗、といいますか、組織の中にいる人間が上下の関係の中で自己を規定し、あたかも自分が組織の中立的人格であるかのように自覚し振る舞ってしまう、しかしそれが実は自分の所属するセクションの利益を代表するためであったりする、ということが書かれていたかと思います。

 

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お話その147(No.0147)