日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

世界最古の文明における大陸による文化の接触 〜ギリシアとインドの思想/哲学/文化の相互関係、もしくは古代懐疑主義とインド行者の影響の可能性

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大陸における文化の接触 〜ギリシアとインド

大陸でにしろ地球規模にしろ、随分と大きな枠組みの考えです。しかしどちらも近代化した日本について考えてくださっていて、それ以前はどう捉えればいいのかわかりません。私も知りませんので黙ってしまうしか出来ません。またいつかどこかでそんな本を読んだら書いてみたいですね(網野善彦読めばいいのかな)。

 

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それはともかく、とりあえず日本にはヨーロッパやイスラーム、インドに中国といった偉大なものがない、と仮定したとして、代わりに日本にはなにがあったかというと

 

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こんな感じでした。何もないからといって悪いわけではありませんね。タイプが違うわけです。

 

大陸の偉大なものの理由

では大陸ではどのようにして偉大なものを持ち得たのでしょうか。

 

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文明の揺籃地と多文化圏との接触

1つはすべて文明の揺籃の地だと言えることがあげられますね。それは同時にこれらの文化圏が成立する前に、古代の時点で既に相当に高度な蓄積があったであろうと想像されます。

 

世界四大文明の特徴としてのユーラシア大陸 ~連綿と続く古代文明の影響とその揺籃地としてのユーラシア大陸 - 日々是〆〆吟味

 

と同時に大陸であることによって、他の文化圏とも接触する可能性がある、ということもあげられるかもしれません。

 

ギリシアとインド

たとえばアリストテレスの教え子でもあったアレキサンダー大王は東に東にと攻めていってインドまで行きました。となると、ギリシア文化がインド文化とぶつかることになります。この接触からまた新たなものが生まれるかもしれませんし、危機感を持って既にあるものを鍛えようとして新しくなるかもしれません。

 

 

 

ギリシアですとアリストテレス以降に懐疑主義というものが現れます。これはちょっと面白くて、真理を特定してしまうのではなく、疑うことによって宙ぶらりんにしてしまい、特定の党派に盲信してしまわず中庸を保つ、といった考えのようです。これはあまりギリシア的な考えではないと思います。ギリシア的な考えはむしろ徹底して真理を求めるようなもので、この徹底度が極端であったために現代においてギリシア的な思考を引き継いだヨーロッパで科学が誕生したとも言われていたはずです(どこで書いてあったかは忘れました)。中庸を求めるようなものはどちらかといえば東洋的で、仏教の空論などは真理を求めて最終的にすべて否定し、無に定めるため似ているかもしれません(仏教についてもあまりしらないので自信ありません。一応下に本を載せておきます)。

 

懐疑主義と行者

懐疑主義の解説書に書いてあったと思うのですが、どうもこの懐疑主義の哲学を唱えた人たちはインドの行者と接触があったのではないか、といいます。それは直接インドに行って接したのか、ギリシアにインドの行者が来て影響を受けたのか、またはヨーロッパとインドを行き交う旅人から聞いてそのような考えが生まれてきたのか、それはわかりません。もし古代の歴史学で史料でも出てくればいいのですが、時代が古すぎて期待は出来ず想像するしかないようです。しかしシルクロードは日本まで至っているので、それに比べればギリシアとインドは近い、とも言えるかもしれません。そしてその接触可能な距離に、ギリシアとインドという世界的かつ歴史的な偉大なものをもつ文化圏が成立していたことになります。古代の時点で既に偉大ですが、それがお互いに接触し影響を与える可能性もあったわけです。

 

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そしてそれは時代が新しくなるにつれて、交通が可能になればなるほどより活発になると予想されるのでした。

 

気になったら読んで欲しい本

【アナス,バーンズ『古代懐疑主義入門』】 

タイトル通り古代の懐疑主義について書いてある本。なんでも懐疑主義というのは近代にもう一度大きく現れるようで、ギリシア時代のものは古代懐疑主義として区別するそうです。

この古代懐疑主義はキュニコス派とストア派とも歴史的な発展関係にあり影響を与えていたのではないか、って書いてあったような気もするのですが、ちょっとよく覚えていません。記憶で書いているので間違っていましたら申し訳ありません。読んでくだされば載っているかと思います。けどなんでそんなこと不確かなのに書いたのかというと、ストア派は宗教的な側面のある哲学で、真理の追求というより心の平穏を保つような実践哲学だったような読後感を覚えていますので、もしインドとの接触があったとすれば面白い対比と関係な気がしたので書いてしまいました。

ちなみに懐疑主義の原典はこちら

【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義哲学の概要』】  

ストア派の有名な本といえば

【マルクス・アウレーリウス『自省録』/エピクテトス『人生談義』】 

こちらがとても面白かったです。ただ上の方が1冊で読みやすいから、マルクス・アウレーリウスの『自省録』をお勧めします。この人はプラトンが理想とした哲人政治の唯一の達成者と言われ、ローマ皇帝でありながら本書のような哲学的思索を続けた人です。

【中村元『龍樹』】 

仏教については、恐らく人類最高峰の思考を達成したと思われる龍樹の『中論』があり、この本に解説とともに翻訳が載っています。著者の中村元も日本仏教学界の最高権威で、世界的碩学として大変高名です。なんてお得な1冊でしょうか。しかし私はまだ読んでいません。『中論』は別の本で読んだことがあり、とんでもない考えが記録された歴史の始まって間もない頃になされているのを知り驚嘆したことがあります。吉本隆明が人間が考えなくちゃいけないことは4世紀くらいまでにみんな考えてる、と書いていましたが、それが本当だったと教えられました。

また『中論』自体はとても短くて簡単に読めます。それこそ付録にできるくらいに短いです。気軽に読もうと思えるのは嬉しいですね。

【大学・中庸】 

余談ですが中庸という考えは中国では四書五経の中の一冊にまでなっています。現代の中国批判をしたいと思われる方は、今の政治的な様子を非難するだけでなく、中国の古典的な思想からも外れてる、と言ってみるのもいいのではないでしょうか。中国の古典も面白そうなのですが、ちょっとずつ溜まっていくだけで中々読む暇がありません。残念だなぁ…

 

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 お話その78(No.0078)