日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

スポンサーの意味とキャラクターグッズのビジネス展開と作品 ~ロボットアニメの制作費とスポンサーとしてのおもちゃ会社の意向と制作者の役割と葛藤

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スポンサーとキャラクタービジネスと作品 〜制作費と売れることの狭間

TVアニメがグッズ展開によるキャラクタービジネスによって支えられているとしたら、スポンサーとして出資する企業も同じようにキャラクターグッズを販売する会社が集まるのは自然なことと思います。

 

ロボットアニメとおもちゃ会社

日本のアニメは『鉄腕アトム』から出発し、すぐに『鉄人28号』が追随してきたことからもわかるように、実は最初からロボットものによって成立したともいえるかもしれません。その後『マジンガーZ』によって、いわゆる今で言うスーパーロボットが確立します。この時点でスポンサーとなるのはどのような会社でしょうか。簡単ですね。おもちゃ会社が主なスポンサーになるのです。そしてスポンサーの目的は、アニメで流した作品のロボットをおもちゃとして自社で販売することにあります。これは今でも子供向けのアニメや特撮では続いてるかもしれません。戦隊シリーズなんて、完全にそうですね。あんなに変身するロボットは、もう戦隊シリーズしか残っていないと思います。

 

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スポンサーと作品のちょっと嫌になりそうな関係

さて、アニメは大変お金がかかるのでした。そのためどうしてもキャラクターグッズを売らなければ立ち行かず、またスポンサーにお金を出してもらわねば作り出すことも出来ないのでした。そこでスポンサーにお金を出してもらい、スポンサーは作ったアニメからキャラクターグッズを販売して利益を得る。こうした関係でしょうか。しかし、スポンサーがお金を出して、出来上がった作品に対してのみキャラクターグッズを作って売るかといえば、そんなことしませんね。まず最初から、自分たちのキャラクターグッズを売りやすいようにアニメ自体を制御しようとします。そしてその権利はスポンサーには確かにあります。何故ならば巨額のお金を出しているからです。

 

たとえば、『聖闘士星矢』や『鎧伝サムライトルーパー』、『天空戦記シュラト』など、なんでもバトルスーツものと呼ばれた作品群が80年代末に作られました。これらの作品はバトルスーツというだけに、鎧のようなものを着て戦います。ですから鎧を着せる人形をおもちゃ会社が販売するのですが、その時製造ラインを単純化するために各人形自体は同じ形にして顔だけを変えて作ったそうです。そして鎧をバリエーション化して差別化させました。各人形=キャラクターが同じ背格好であるために、主人公たちは同じ年頃の少年になったそうです。キャラクターグッズのために設定が決められたわけですね。どこで読んだのか忘れましたけど(『聖闘士星矢』は原作がありますから、事情はちがうでしょうが)。

 

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ちなみにこれらの作品は美少年ばかりが出てくるので、BLとか乙女ゲーとかいうのは30年前から変わっていない想像力なのですね。世代が変わってもやってること同じって、ある意味すごい強固な想像力といえますね。

 

作品性と売り上げの葛藤

それはともかく、そうするとどうしても出資者側はアニメの質自体よりも売れやすいことを優先させてしまいますし、作り手側でも気を回して思いのままに作れないという板挟みにあってしまいます。これは今でも変わらないようで、どこからともなく怨嗟の声が漏れ聞こえてもきそうです。

 

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とはいえスポンサー側でも熟知して作品を作り売り出すことはあるでしょうから一概に言えません。たとえば名作『新世紀エヴァンゲリオン』はキングレコードがスポンサーについていましたが、当時のマニアックなアニメ作品にはことごとくキングレコードがスポンサーについていました。言い換えると90年代のアニメはキングレコードが下支えしていたといえます。ジャンプだけでなく、アニメもまた90年代に黄金期を築いていましたからね(『エヴァ』のおかげだけかもしれませんけど)。

 

 

 

逆に、ジャンルは違うのですがお笑い芸人の場合、TVでネタ番組に出演すると、あのネタとあのネタとあのネタのオチを合わせて4分でネタしてください、なんてディレクターに言われたりするそうです。ある番組で若手芸人が、お笑いわからないやつがお笑い番組のディレクターやってんすよ、と怒っていました。若手だけでなく志村けんすらが、いい大学出ただけのペーペーが現場出てすぐにああしろこうしろ言ってくる、演技のことも何も知らないくせに、何十年も勉強してきた自分たちに命令できると思ってる、なんて怒っていましたから、相当に問題がある気がします。志村けんが仕事するくらいですからまず大手局だと思いますが、受験戦争をくぐり抜け名門大の卒業証書を得ることによって、それを持たざる者は斯界随一の人物であっても下に見てしまうのはいくらなんでもエリートの弊害といっていいのではないでしょうか。丸山穂高議員みたいなのが各分野であちこちにいるのかもしれませんね。和田アキ子にあんなこと書けるんですから(当時)、そりゃ志村けんにだって言う人も出てくるでしょう。

 

スポンサー主導と化したロボットアニメ

そしておもちゃ会社がスポンサーにつくことによって日本のTVアニメはロボットものが中心になり一時代を築きました。しかし、やはりそうしたロボットものはおもちゃ会社主導であるために様々な制約があったようです。作品の質を高めるのではなく、売れるためにどうするか。いかにしてロボットをおもちゃにし、おもちゃにしたロボットを子供たちに買ってもらえるか。それが中心であったために当時のロボットアニメは30分CMなどと揶揄されていたそうです。

 

そして子供が見るというのにこんな大人の都合だけで作品を作ってすましてしまうのは、子供を馬鹿にしている、と本気で怒ったアニメ作家がいました。それが富野由悠季です。そして『機動戦士ガンダム』か誕生するのでした。

 

参考となる本

【山口康男『日本のアニメ全史』】 

日本のアニメの歴史が載ってる本。

しかし私は読んでいません。図書館で見かけてペラペラとめくってみただけです。面白そうでした。

便利だと思うのは、出版された2000年までのアニメ年表がついていることで、いつ頃にどんな作品が放送されていたのかがすぐわかります。この部分だけコピーし今も家にあります。なんだか高額になってしまっているようですから、図書館で見かけたら同じようなことをしてみてはいかがでしょう。

 

【あかほりさとる『オタク成金』】 

ちなみに著者のあかほりさとるは最初期のライトノベル作家でもあり、角川書店が分裂し電撃レーベルが誕生した時の様子も少し書かれています。もし今電撃文庫の作品が好きな方がいらっしゃれば、その誕生の時はこんなだったんだよ、というのが知れて面白いかもしれません。これもひとつの歴史ですね。

 

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 お話その64(No.0064)