日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

目の前の世界/社会を当たり前とみなし、大衆が恩恵を享受する意味の問題点 〜世界/社会の秩序とは不断の努力により維持されるも、そのための労力を大多数を占める大衆は支払わない【オルテガ『大衆の反逆』 】

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前回のお話

https://www.waka-rukana.com/entry/2020/01/06/180040

 

当たり前の世界/社会と、食い尽くす大衆 〜世界/社会の維持に労力を払わない

大衆が自分の中にしか思想を認めない、言い方を変えればなにも学ぼうとしない、ということは前回見てみました。しかしそれゆえに大衆は目の前の世界に対してもあるひとつの見方を持つ、とオルテガは言います。

 

当たり前のものとしての世界/社会

それは大衆にとって目の前の世界(もしくは社会)というものは自然なものだ、ということです。自然、とはどういう意味でしょうか。この場合は当たり前に存在している、という意味になります。

 

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つまり大衆にとって目の前に存在している社会や世界というものはあって当たり前なのです。それがどういうことを意味するのか、といえば、なんの労力を支払うことなく今の状態が維持されている、と無自覚に捉えている、もしくは前提としていて疑わない、ということのようです。

 

不断の努力による建設と維持

これはなにを意味しているでしょうか。オルテガによれば、社会というものは常に不断の努力によって維持されている、といいます。社会秩序も経済体制も、それぞれの領域で多くの人が関わりながら発展したり衰退しているわけです。だからこそ時々刻々と変化していき、いつの間にか悪くなっていたり世の中が変わるような出来事が起こったりするわけですね。戦争が起こることもあれば、パソコンやスマホが出てきて便利になることもあります。これらはいきなりぽんと出てきたわけではなく、様々な人たちが交渉したり研究したりして生まれてきたわけです。それは私たちの目に見えていないかもしれませんが、必ず個々の人物が苦労して結果が現れているわけです(リチウムイオン電池もそうですね)。

 

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そして同時にそうして生み出されたものは平和であれ商品であれ、同じように様々な人によって維持されています。戦争が起こるのなら起こらないように外交努力したり交渉を続けたりと大変でしょうし、リチウムイオン電池が開発されたって作る人もいないといけませんし、そのための資金を調達する必要もありますし、それに従って新しい商品を作る人もいます。これらはそれぞれの人がそれぞれに努力して今あるものを維持したり発展させたりしているわけです。

 

目に見えない社会の背景と、享受するだけの大衆

こうした背景が私たちの生きている世界/社会には存在しているのですが、なかなかそれは目には見えてきません。それは世界/社会が大きく広がりすぎたため、全貌を捉えることが出来なくなったために仕方のないことなのかもしれません。

 

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しかしオルテガによれば大衆はこうして背景を一顧だにせず、当たり前に世界や社会が存在しているものだと考える、と言うのです。そのため現在の世界や社会を維持していくための労力も自らは払わない、享受するだけで放蕩のままに食い散らかす、といったようなことを言います(多分。細かいとこ忘れた)。

 

結果大衆が支配した社会は、社会の維持も放棄してしまう、と言います。オルテガ先生のいうことが本当に正しいかどうかはわかりませんが、身の回りを見ながら考えてみることも益のないことではないかもしれませんね。

 

次回のお話

https://www.waka-rukana.com/entry/2020/01/10/180046

 

気になったら読んで欲しい本

 

オルテガ『大衆の反逆』 

オルテガの本。大衆という現象はまずこの本で整理されたと思われます。他にも色々出てくるのですが、大衆の問題点を一番深くえぐっているのはオルテガかもしれません。しかし単にケチをつけているだけでなく、現代社会の問題として真摯に向き合っているのは間違いないとも思えます。

 

次回の内容

https://www.waka-rukana.com/entry/2020/01/10/180046

前回の内容

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お話その162(No.0162)