物語の構造分析の流れ ~プロップ、バルト、ジュネットを参考にしてみよう!
構造としての昔話と小説
プロップは民話、つまり昔話を扱って物語はパターン(構造)だ、と考えたのですが、ロラン・バルトはそれを小説でやろうとしました。そこでバルトは同じフランス人作家のバルザックの『サラジーヌ』という短編を用いて徹底的に分析しました。プロップは機能を31個としましたが、バルトはなんと561個も導き出しました。ものすごい数ですが、これで短編を分析したのですから長編は無理ではないか、と思われたそうです。
短編と長編の構造
しかしバルトの仲間でもあるジュネットという人が、よりにもよってプルーストの『失われた時を求めて』を使って分析し成功をおさめました。プルーストは生涯この作品を書き続けて未完に終わったような人で、一般的な翻訳であるちくま文庫版で各巻約500ページで全10巻という大冊です。読むだけで大変です。というより読めることの方が珍しいくらいの大作です。
私はバルトはちゃんと読んでいませんのであまり言えることはありません。しかしジュネットは昔読みました。しかし、難しすぎる! ちんぷんかんぷんでした。理由はもともと難しいということもありますが、依拠しているテキストがプルーストなので当然読んでいませんから、何をもとにして説明しているのかもわからないからです。ジュネット読む人はプルーストも読むんだろうか…た、大変だなぁ…。
それぞれの構造分析
プロップはいくつものバリエーションがある物語が実は単一の構造と限られた機能で成り立っていることを見つけ、バルトは多分それを小説に応用し数多くの機能を抽出したのだと思いますが、ジュネットはおそらく小説を統治するシステムを把握したのではないかと思います。説明は私の力量を越えますから自分に引き寄せてしか出来ませんが、要は小説が全体的にどのように構成されているか、ということをプルーストを例にしながら分析したのではないでしょうか。
長編の構造分析
たとえばジュネットは物語内容、物語言説、語りと3つにわけるのですが、乱暴に言い換えてしまえばお話や出来事、文章、書き主(作者でも作中の人物でも、小説として現れてくる言葉の主、といったイメージで理解してください。うまく言えません。とほほ)とでも言えそうです(本当はこんなことしちゃいけません。ジュネット先生の言う通り覚えましょう。私は理解できていないのでこんな真似しか出来ないのです)。そして小説は言葉(言説)で出来ていますから、どうやって言葉でもって全体を制御しているのか、となり、時間や距離、人称という小説の機能がそれぞれにどう働いているのか、ということを分析し、小説全体の中に組み込んでいったのかもしれません。
あまりよく説明できませんね。ジュネットの本を要約されている方がいらっしゃいますので、参考にしてください。私も参考にさせてもらいます。
いやぁ、これくらいすっきり理解したいものですね。せめてもう一回は読まなくちゃダメでしょうねぇ…うぅ、大変だよぉ。
参考となる本
【ジュネット『物語のディスクール』】
ジュネットの本です。高いです。二段組で300ページ以上あります。難しいです。お財布にも時間にも頭にも優しくない本です。
前回、水声社の本について少し説明しましたが、ジュネットの本も同じ水声社です。ジュネットはたくさん本を書いていて、ほとんどが翻訳されています。すべて水声社の『叢書 記号学的実践』というシリーズに入っています。どれも高いです。勘弁してください。
ジュネットの仕事は物語論と呼ばれ、その分野の古典中の古典なのですが、それでも簡単に手に入りません。学術書って、出版の段階で意外と民主的ではないのでした。増刷してほしいなぁ〜。
こうなると学術文庫のありがたみがわかるのですが、岩波文庫以外だと結構品切れも多く高音がついてしまいます。プロップは一冊講談社学術文庫から出ていますが、もう品切れで高くなってしまいました。岩波文庫でも確実なのは昔から出ている哲学や文学の古典で、これは古本屋でも簡単に見つかります。けれども社会科学は怪しく岩波文庫でもよく品切れだったり古本屋でも中々見かけなかったりします。リカードゥとか何故ない。
手に入らない本たちへの愚痴になってしまいました。つい怨みが…(苦笑)
【バルト『S/Z』】
ロラン•バルトの本はこちら。付録としてバルザックの『サラジーヌ』がついています。各単語ごとに、と言っていいくらい物語の機能の注釈がついていたと思います。たしか物語の機能の一覧表もあったんじゃないかな。きっと面白いと思います。読まなくちゃなぁ。
【プロップ『昔話の形態学』】
で、一応プロップの本。前回も載せましたね。
次の日の内容
https://www.waka-rukana.com/entry/2019/07/09/193032
前の日の内容
https://www.waka-rukana.com/entry/2019/07/05/060056
お話その47(No.0047)