日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

理論と実践のパラドックス/逆説 〜理論的実践行動による社会改革とその乖離

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理論と実際、もとの理論と変形していく思想

資本論(マルクス) 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論(マルクス) 1 (岩波文庫 白 125-1)

 

 現在進行形社会問題の難しさ

大阪都構想は現在進行形の問題ですからこの先どうなるかはわかりません。推進派が言うように大阪府、市の問題が一挙に解決するかもしれませんし、反対派の言うように大阪が沈没する要因になるかもしれません。それはやってみなければわからないのですが、影響が甚大なのでやってみるではすまされないので、やる前に侃侃諤諤の議論が行われているわけです。

 

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でもゼノンのパラドックスのように論理的に正しくても実際に正しいとは限らないのに議論なんてして意味あるのでしょうか。こうした疑問を持たれる方もいるかと思いますが、それはちょっと置いておかせてください。

 

【山川偉也『ゼノン 4つの逆理』】 

 

それよりも先にこれからの問題ではなく、すでに結果の出た問題について考えてみたいと思います。

 

結果の出たあとの社会問題の場合

大阪都構想は先ほども述べました通り現在進行形の出来事です。しかし共産主義や社会主義についてはもう結果が出たと思ってもゆるされるかもしれません。少なくともソ連における大粛清は20世紀の汚点として残るでしょう。そしてソ連が国家という規模での社会実験であったということもとりあえずここでは認めることにしましょうか。

 

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しかしソ連の土台となる共産主義、もしくはマルクス主義というものは大阪都構想についての議論とは桁違いの厚みと広さを持っています。それは日本という1つの国の一自治体に対し、世界規模で100年にもわたって展開された思想との違いがあります。橋下さんがたとえ日本で一番頭が良かったと仮定しても、同じように各国でトップクラスの頭の良い人々が賛成反対関わらずこぞって問題にしたのがマルクス主義です。20世紀思想からマルクス主義を抜いてしまうことは不可能なくらいに大きな存在です。それなのに失敗してしまいました。

 

ゼノンのパラドックスから考えれば、そりゃ理屈はあってても間違ってるんだから、間違った理屈を作っていたんだろう、ということになります。しかし、では共産主義の原点であるはずのマルクスはソ連みたいな国を想定していたでしょうか。おそらくそんなことはなかったでしょう。

 

もとの考えからズレていく考え?

マルクスが問題にしたのは資本主義ですが、なにも資本主義を叩き潰してやろうと手ぐすね引いていたわけではありません。アルカイダやイスラム国がアメリカ許すまじ、テロをも辞さん、というのとは違います。『資本論』は読んでみると資本主義の徹底した分析の書で、別段革命を勧めるようなものではありません(難しくて全然私にはわかりませんけれど)。そりゃ『共産党宣言』の方はアジビラで人を焚きつけるような側面もあるかと思いますが、中身は大著である『資本論』ほどの理論書ではありません。

 

【マルクス『資本論』『共産党宣言』】 

ただ『共産党宣言』は短いし活気があり、読んでて楽しいところがあります。それこそ橋下さんのツイッターでも読んでいるような気にさせてくれます。けど『共産党宣言』を読んだ人が『資本論』まで読んだかはわかりません。なんとかして理解しようとして分析したものを読まずに、ただ活気よく気分を高揚してくれるためにマルクスを読んだのかもしれません。今風であればビジネス書のように読んだのかもしれませんね。

 

で、マルクスは資本主義は矛盾のあるシステムだ、と考えたんだと思います(心配なんで、どこかで専門家の言うことを聞いてください)。資本主義は利益を得るためにとにかく商品を生産しなければならないシステムで、それは商品が世の中にあふれても生産を続けなければならず、結果物がだぶついて売れなくなり、にも関わらず生産しなければならないから恐慌を起こす、これが周期的に繰り返される、と、そう言います(多分。やっぱり専門家の言うこと聞いてくださいね)。だから放っておいたら資本主義は自己矛盾に陥り自滅する。そしてその後資本主義国は共産主義化する。だから一番共産主義化する可能性があるのは最も資本主義が発展しているアメリカだ、とこう考えました(お願いですから専門家の以下略)。

 

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全然違いますね。マルクスは資本主義の限界から共産主義化すると考えたわけです。ソ連ーというよりまだロシアですね、当時のロシアなんてのは産業革命も起こっていないので共産化なんてちゃんちゃらおかしいわけです。

 

 

つまり最初のマルクスの考え、もしくは理論というものからかけ離れた結果としてソ連が生まれたことになります。となると、ゼノンのパラドックスの話と変わってきます。実際と違うけど論理的に正しいという話ではなく、元々の論理と違うのに結果だけ当初の予定になる、ということを期待している、と、この場合なるでしょうか。

 

そりゃ上手くいかない気がしますね。

 

いつのまにか変わってしまっている考えというもの

ですがここで私たちにとって問題なのは、論理がいつのまにかすり替わっていることでしょうか。元々のマルクスの考えであれば、熟した果実が落ちるようにして共産主義が起こるはずだったのに、今マルクス主義なんて聞いてそのようなことイメージする人はいないでしょう。普通旧ソ連か中国、もしくは北朝鮮で、よくってキューバだと思います。どれもマルクスの考えたような共産主義化ではありません。

 

全然違うやないけ‼︎

 

そう思ったってゆるされる気もしますが、しかしここまで変わってしまうとしたら、理論や論理ってどのあたりに正しい理由があるんでしょうか。

 

なんかますますわからなくなってきます。

 

次の日の内容

思想とその支持者との間に横たわる理解や伝播の溝や齟齬 ~元々の考えと伝えられた後の考え - 日々是〆〆吟味

前の日の内容

社会問題時におけるゼノンのパラドックス ~論理と実践の不一致とやり直せない社会という問題 - 日々是〆〆吟味

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お話その15(No.0015)