日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

ゼノンのパラドックスの重要性 〜論理的に正しいのに事実と異なる逆説/逆理【おもしろい哲学】

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論理的に正しいのに事実と異なる、ゼノンのパラドックスの重要性 ~あってるのに間違って!?

アキレスと亀のパラドックスを考案したゼノン先生ですが、なぜこのような問題が重要なのでしょうか。

 

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それは色々理由があるのですが、とりあえずここでは私たちが考えた問題と関係のありそうなところを取り上げてみましょうね。

 

実際には簡単に亀を追い抜かせる

アキレスは亀を抜かせないと考えたゼノン先生ですが、なにも実際にアキレスが亀を抜くことまで否定はしなかったと思います。当然当時から亀より速く走れる人はいたわけで、まさにゼノン先生の目の前で亀を追い抜いたことでしょう。抜いて走った人はゼノン先生に対して、ほら間違ってるじゃないか、と指差したと思います。それを見てゼノン先生は、お前が亀を抜いたのは間違っている、とは言わなかったでしょう。

 

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では一体なんと言ったのでしょうね。

 

しかしゼノンの説明はその説明(論理)の範囲においては間違っていない

おそらく、いや、確かにお前さんは亀を追い抜いたよ。でもさっきわしが言った説明はどこが間違っとるんだい。亀が少し先にいて、あんたが走る。その間には追いつくまでの時間があって、その間に亀はまた少し先へと進んでる。どこが間違っとるんだ。と、まぁ、こんなことでも言ったんじゃないでしょうか(あ、これは私の勝手な想像ですからね。ゼノンが大昔にこの通り発言したわけじゃありませんよ)。

 

これはその通りでもあります。前回の図のように、AーーBという関係で同じ時間を移動すれば、同じだけ時間に沿って進んでいるはずです。これは理屈の上では間違っていないわけです。もうちょっと硬い言い方をすれば論理的に間違っていないわけですね。

 

ですが、論理的に間違っていないのですが、現実的には間違っているのです。実際に試してみれば、目の前で走った人のように簡単に亀を抜かせます。となるとゼノン先生の論理は間違っているはずなのに、論理的には間違っていないということになるのです。

 

これがパラドックス(逆説)というわけですね。

 

論理的に正しいが事実とは異なるという重要問題

これがどうして重要かというと、理屈はあっているのに実際には間違っているということがある、ということの証明になっているわけです。

 

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なにを当たり前のことを、とまた思われるかもしれません。しかしこれはとても重要なことなのです。それは一挙に説明できないくらい大変なことなのですが、単純にいえば

 

1.人間は考える時、論理的にしか考えることができないのに、その結果が論理的に正しいにもかかわらず間違っている。

2.しかも実際に確かめることのできない問題は人間や社会には山ほどあり、そうした問題はどうしたって考えて答えを出すしかない。

3.しかしそうした考えは論理的にしか考えることができず、にもかかわらず論理的に正しいからといって実際に正しいかはやってみるまでわからない。

4.そして一度試してみれば取り返しのつかない問題まで同じやり方でしかできない。

 

こういうことになるでしょうか。

(今回しか目にされない方のために一応書いておきますと、それを避けるために必要とみなされるのが実証主義というもので、論理ではなく経験的な範囲で論理的正しさを確認する作業が不可欠だ、ということなんですね。そしてこれが哲学や神学と科学をわけるポイントで、中世と近代をわけるポイントでもあるようです)

 

うまく説明できるかわかりませんが、また明日からこの問題を考えてみましょう。

 

【山川偉也『ゼノン 4つの逆理 アキレスはなぜ亀に追いつけないか』『古代ギリシアの思想』】  

  (こんなおあつらえむきな本もありました。私は読んでませんが、同じ著者の別の本から色々教えてもらったことはあります。それはこちら↓) 

 注:ゼノンのパラドックスの図はこちら

www.waka-rukana.com

 

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お話その11(No.0011)