日々是〆〆吟味

自分で考えていくための参考となるお話や本の紹介を目指しています。一番悩んだのは10歳過ぎだったので、可能な限りお子さんでもわかるように優しく書いていきたいですね。

学問の話-哲学

心身二元論の問題を克服しようとしたデカルトの松果体と、当時の医学の水準という限界

デカルトの心身二元論と松果体 デカルトと心身二元論 【ダマシオ『デカルトの誤り』】 身体と精神をつなぐものとしての松果体 【デカルト『省察』『哲学原理』】 よくわからない松果体と当時の医学 【ハーヴェイ『動物の心臓ならびに血液の運動に関する解剖…

デカルトの心身二元論における精神と身体の分離と、身体と自然の統一的な理論である機械論的世界観

デカルトの心身二元論と統一的な自然世界の機械論的世界観 身体と精神の哲学的分離 【デカルト『省察』『哲学原理』】 【ニュートン『自然哲学の数学的原理』】 身体と自然の統一的メカニズム 中世的思想に対して革命的だった統一的な自然の機械論的世界観 …

現象学が様々な分野で応用され発展していったそれぞれの思想的展開

学問の基礎学としての哲学である現象学とその応用たち 哲学としての現象学 応用される現象学 現象学と社会学 【シュッツ『社会的世界の意味構成』】 現象学と地理学 【レルフ『場所の現象学』トゥアン『空間の経験』】 現象学と哲学 【メルロー=ポンティ『知…

現象学が基礎づけようとした、体験を意味づけすることにより新しい学問的基礎を築いた哲学

現象学と普遍的なものとしての人間の体験 ちょっと不思議に聞こえる現象学 【竹田青嗣『現象学入門』】 人間にとって普遍的な体験というもの 【フッサール『イデーン』】 数学に対するものとしての体験 【クライン『数学の文化史』】 前回のお話 waka-rukana…

現象学の意味とはあまりに数学化されたヨーロッパの学問から体験的統一性を取り戻すことにあった ~フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』

現象学とヨーロッパの学問の数学化と失われる統一的人間観 現象学の問題意識 【フッサール『論理学研究』】 ヨーロッパの学問と数学化 【フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』】 人間が数字化されて物扱いになっていく 【マルクス『経済学批…

懐疑主義のエポケー/思考停止を用いる現代的な哲学である現象学とは

現代における懐疑主義のエポケー/判断停止を用いる新たな哲学である現象学 平静を求めるための懐疑主義のエポケー/判断停止 【アナス,バーンズ『古代懐疑主義入門』】 現代におけるエポケー/判断停止と現象学 【竹田青嗣『現象学入門』】 体験を純粋に取り出…

デカルトの懐疑とセクストス・エンペイリコスの懐疑主義 ~懐疑を巡る時代を超えた継承と忘却された中世哲学

近世/近代に現れた懐疑主義の影響とデカルトの懐疑 【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』】 デカルトの懐疑 【デカルト『方法序説』】 デカルトの懐疑とセクストス・エンペイリコスの懐疑主義 中抜きされてしまった中世哲学 【キリスト教教父…

近世/近代哲学における、古代懐疑主義からの影響による認識論の基礎づけ ~セクストス・エンペイリコスからデカルトへ

近世/近代哲学における、古代懐疑主義からの影響による認識論の基礎づけ 近世哲学における既成哲学の拒絶 古代懐疑主義による徹底批判 【セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁』】 近代哲学における新しい基礎の探求 【デカルト『方法序説』,ロック…

古代における懐疑主義と近代の哲学者たちの関心 ~セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』の後世の影響

古代における懐疑主義と近代の哲学者たちの関心 近世におけるセクストス・エンペイリコス 学派的真理への批判と真理の相対化 【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』】 古代の哲学者の問題意識と近世の哲学者の問題意識 【マルクス・アウレーリ…

失われた古代の古典と新しく出版されることにより蘇る問題意識 ~古代の懐疑主義により与えられた近世哲学の問題意識

失われた古代の古典と新しく出版されることにより蘇る問題意識 現代にまで影響を与える古代の懐疑主義 案外残っていない古代の哲学 【ソクラテス以前哲学者断片集,初期ストア派断片集】 修道院に死蔵されて忘れられた古典たち 出版が可能になってから再び現…

プラトンのアカデメイアと哲学の変遷 ~プラトン亡き後のアカデメイアの研究態度の変化

プラトンのアカデメイアと哲学の変遷 アカデメイアと懐疑主義 【廣川洋一『プラトンの学園アカデメイア』】 プラトンの弟子アリストテレス 【ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』】 プラトン亡き後のアカデメイアの後継者 アリストテレスの…

アカデメイアに起こったピュロン主義とは異なる懐疑主義 ~ストア派に対するための後期アカデメイア的懐疑主義

ピュロン主義とは異なる別の懐疑主義としてのアカデメイア もうひとつの懐疑主義 【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』】 プラトンの哲学と懐疑主義 ストア派の祖としてのキュニコス派とプラトン 【ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲…

ピュロン主義としての懐疑主義とセクストス・エンペイリコスの著作『ピュロン主義哲学の概要』や『学者たちへの論駁』の歴史的意義

ピュロン主義としての懐疑主義とセクストス・エンペイリコスの著作の歴史的意義 ピュロン主義としての懐疑主義 遺されていないピュロンの著作とセクストス・エンペイリコス 【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』】 セクストス・エンペイリコ…

懐疑主義の持つ特定の心理を奉じない積極的判断停止の立場 ~心の平静をもとめるひとつの知恵

特定の真理を奉じない懐疑主義の積極的判断停止の立場 懐疑主義とわからないことの宙ぶらりん 【アナス,バーンズ『古代懐疑主義入門』】 わからないことを選ぶ懐疑主義 判断停止と心の平静 【セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義の概要』】 前回のお話…

エピクロスの哲学と原子論の考え方とキリスト教における自然観の対立

エピクロスの哲学と原子論とキリスト教 ローマ時代の3つの哲学 【ロング『ヘレニズム哲学』】 エピクロスの哲学 ルクレティウスに残されたエピクロス哲学 【ルクレティウス『物の本質について』】 デモクリトスの原子論とエピクロス エピクロスの自然観とキ…

ストア派とキリスト教のローマ社会における立場と相違

ローマとストア派とキリスト教 キリスト教とストア派 ストア派とローマの上層社会 【マルクス・アウレーリウス『自省録』,エピクテトス『人生談義』】 ストア派と厳格主義 【アームストロング『古代哲学史』】 ストア派とキリスト教 前回のお話 キリスト教と…

ローマにおけるキリスト教の関係と苦闘 ~社会から疎外された者の新しい存在としてのキリスト教

ローマ社会におけるキリスト教の苦闘 ローマ時代のキリスト教 ローマ時代の哲学と宗教 【ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話』】 ローマ社会の虐げられし人々 【新約聖書 福音書】 イエスの死後とキリスト教の建設 【新約聖書 使徒のはたらき】 新しい立場…

新プラトン主義とキリスト教の結びつきと大きな影響関係

プラトンとキリスト教の結びつきと新プラトン主義 哲学史におけるローマや中世の哲学 【アームストロング『古代哲学史』】 新プラトン主義とプロティノス 【プロティノス『世界の名著』『エネアデス』『善なるもの一なるもの』『美について』】 イデアと一者…

プラトンのイデア論とキリスト教の結びつきと根源的思考の神への影響

プラトンの根源的思考としてのイデアとキリスト教 キリスト教とプラトン 【アリストテレス『動物誌』,ヒポクラテス『古い医術について』】 プラトンとイデア 【プラトン『国家』】 イデアと根源的思考とキリスト教 前回のお話 中世におけるアリストテレスの…

中世におけるアリストテレスの問題点 ~版違いで異なる内容、イスラーム経由での歪み、別人の著作との混同、という様々な問題

中世におけるアリストテレス アリストテレス哲学とトマス・アクィナス 中世におけるアリストテレスの著作の状況 【宮下志朗『普遍論争』】 版違いで内容の異なるアリストテレス イスラーム思想化されたアリストテレス トマス・アクィナスとアリストテレスの…

中世の哲学とアリストテレスの微妙な関係 ~中世に知られていたアリストテレスはちょっとゆがんだ形で伝わっていた

中世におけるアリストテレスの影響と不一致 アリストテレスとキリスト教 アリストテレスと偽書 【世界の名著『プロティノス,ポルピュリオス,プロクロス』】 プラトンとアリストテレス 【ロイド『アリストテレス』】 アリストテレスの特徴としての経験主義 【…

アリストテレスの思想/哲学とキリスト教神学の結びつきやすそうなところとあわなさそうなところ ~世界の始まりと根源からすべてを覆いつくす体系性

アリストテレス哲学とキリスト教神学 永遠としての世界 【アリストテレス『自然学』『形而上学』】 始まりのある世界 【聖書】 体系としてのアリストテレス哲学 前回のお話 クザーヌスの無限と神の絶対性とのちの世代へのつながり ~ブルーノの異端視される…

クザーヌスの無限と神の絶対性とのちの世代へのつながり ~ブルーノの異端視される無限へとつながる正統派クザーヌスの無限

クザーヌスにおける無限とキリスト教思想の正統と異端 枢機卿クザーヌス クザーヌスと無限の考え 【クザーヌス『学識ある無知について』】 量的に測られるものと無限に近づく絶対値 無限な存在と世界 【野田又夫『ルネサンスの思想家たち』】 正統と異端の思…

中世とは論理学上位の価値観の世界であったが、暗黒時代と後世に呼ばれた中世から脱出することとなったアリストテレス的ではない新しい宇宙観

中世の価値観や論理学上位からの脱出と新しい宇宙観 中世と論理学と暗黒時代 中世批判と暗黒時代 【山内志朗『普遍論争』】 【エラスムス『痴愚神礼讃』】 中世批判と新しい見方 【プトレマイオス『アルマゲスト』】 新しい宇宙観の誕生 【ガリレオ『天文対…

中世ヨーロッパの暗黒時代のイメージと裏腹に、高度に維持・発展させられていた中世論理学の意義と、物事の認識のために必要な基礎となる論理学と数学との違い

中世における論理学の意義と物事の認識の土台となる論理学と数学の違い 論理学と基本教養 【アリストテレス全集1,2】 現代の数学のような中世における論理学の地位 【ブロック『王の奇跡』『封建社会』】 【中世思想原典集成19】 論理的世界観としての中世 …

アリストテレスの時点で相当の完成を達していた道具としての論理学=オルガノンと、現在まで残るアリストテレスの著作における数奇な運命の経緯

アリストテレスと論理学とその著作の経緯 思考と論理と言葉 アリストテレスと論理学 【出隆『アリストテレス哲学入門』】 【カント『純粋理性批判』】 完成されているアリストテレスの論理学 アリストテレスの著作の経緯 オルガノン=道具としての論理学 【ア…

論理とは異なる具体的で複雑な個人的体験と、他者理解の際に行われる単純化した論理によって押し付けられる非寛容なエゴイズム

論理の限界と具体的体験の複雑さとの解離と論理的正当性とエゴイズムの関係性 具体的かつ複雑な体験と、論理による単純化した理解 論理と無神経 【渡辺淳一『鈍感力』】 【宮台真司『ダイアローグズ』】 論理的正当性とエゴイズム 感覚の独立性と論理の対立…

体験の個人的意味の価値と論理的説明による妥当性に対するズレと、論理で覆いつくせない問題を論理として捉えてしまう他者意識に欠ける人間の思考

辛い体験と論理的な説明や解決というもののズレと、論理で覆い尽くせない問題を論理によってしか考えることのできない人間の思考 考えてもわからない問題の悩み 論理的に正しいとも間違っているとも正しく説明出来る論理というもの 【カント『純粋理性批判』…

人間が経験することによって認識が可能な科学的に存在しうる世界と、経験を超えた領域へ哲学的思考によって捉えられる世界の違いによる、科学者と哲学者の相違

経験世界の科学と思考能力の向かい先を見る哲学者 理解出来る領域としての経験世界 【ロック『人間知性論』】 経験世界に限定して考える科学 【カント『純粋理性批判』】 哲学者と科学の微妙な関係 〜経験世界以外も人間は考える 【ヘーゲル『精神現象学』,…

矛盾とは認識できない領域への思考である哲学や思想へといざなう日常的な契機となる ~論理的解決では果たされず残されるままの矛盾

矛盾や認識不可能な領域への思考と哲学や思想への日常的な契機 哲学や思想と矛盾や認識不可能な領域 【デカルト『省察』】 解決不可能な問題と理性の宿業 例:ー好きな人はなにを思うだろう 【柄谷行人『探究』】 他人事のような論理的解決と、我がこととして…